変人と自由(4)

| コメント(0) | トラックバック(0)

意外に思われるかも知れませんが、今までの人生の中で、最もしんどかったのが高校時代だったように思います。もがいていたような気がします。自己という感覚は漠然とありながら、自己がつかまえきれない、その存在感の希薄さに、やはりもがいていたような気がします。

 

あの頃の感覚をどう表現すればいいかわかりませんが、もちろんそこには「自由」なんて感覚はなかったと思います。進むべき方向を持たないエネルギー体はどんなに熱を発しても、移動できたとしても、無意味。そんな自己イメージだったように思います。自由なんてある訳がないのです。だから何かに走る。走ることによって、とりあえずある方向は生まれる。つまり、進行方向。何かをやっている、そんな充実はあったように思います。

 

そのまま大学に行くのがいやで、この状態のまま生きていくのがいやで、いつの間にか乗ってしまっていた人生のレールから降りようと決め、大学に行くことをやめました。その決断をした途端に、広い荒野が広がりました。その感覚は今でも覚えています。相変わらず進むべき方向は定まっていないが、自分の足で立っているという実感が以前と違っていた。重力を感じた。世界が広がった。そして「自由」を感じた。あの「自由」は何だったんだろうと、いま改めて思います。ただ分かっているのは、自分で考え、行動しなければならないということだけでした。

 

親には、特に父親には申し訳なかったけれど、私の場合、あの選択は成功だったと思っています。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://hpx.jp/mt/mt-tb.cgi/31

コメントする

カレンダー

カテゴリ

リンク

Powered by Movable Type 4.27-ja